はじめに
株式取引は、多くの人々にとって重要な資産運用手段です。その魅力は、比較的短期間で利益を得られることだけでなく、企業の経営状況や国内外の経済情勢に関する理解が深まることにもあります。しかしながら、株式取引にはリスクも伴います。市場の変動や企業の業績悪化などが原因で株価が下落し、損失を被ってしまう可能性があるのです。そのため、自分自身の知識と経験に基づいた慎重な取引が求められます。本記事では、初心者でもわかりやすい株式取引の基本と概要を解説します。
株式流通市場
株式流通市場は、
- 証券取引所で売買が行われる取引所取引
- 民間業者による取引システムPTS(私設取引システム)
- 取引所上場銘柄の取引所外取引
の3種類から構成されます。これらの、民間業者による取引システムPTS(私設取引システム)と取引所上場銘柄の取引所外取引は、1998年に証券取引法が改正されたことで、取引所集中義務が撤廃されたことにより可能になったものです。
取引所取引
日本には、4つの証券取引所
(東京証券取引所、名古屋証券取引所、札幌証券取引所、福岡証券取引所)
があり、証券取引所は2000年の証券取引法改正により、東京証券取引所を傘下に持つ日本取引所グループと名古屋証券取引所は株式会社となっています。
取引所における取引は、
①一定の上場基準を満たした上場銘柄の取引を、
証券取引所は、取引の公平性を図るため、取引や証券会社の業務内容について、自主規制機関として管理・監督にあたっています。
取引方法
オークション取引
株式取引にはオークション取引とマーケットメイク取引の2つの方式があります。
オークション取引には、
①価格優先、
②時間優先、
③成行優先
の3つの原則があります。投資家はこれらの原則に従って株式売買を行います。
価格優先では、買い注文の場合はより高い値段の取引が、売り注文の場合はより低い値段の取引が優先されます。
時間優先の場合は、同じ注文価格の場合は時間の早い方が優先されます。
成行優先では、希望価格を提示しない成行注文が、指値注文に対して優先されます。
オークション取引では、完全な需要と供給から株価が決定されます。
マーケットメイク取引
一方、マーケットメイク取引では、証券会社が売り気配と買い気配を提示し、投資家が有利な気配値を出しているマーケットメイカーと相対取引を行います。この方式により、流動性が低い銘柄の取引が可能となります。
なお、日本の証券取引所ではオークション方式が採用されていますが、アメリカのNASDAQではマーケットメイク方式が使用されています。
株式取引のためには、投資家は証券会社に口座を開設し、取引に必要な手数料を支払う必要があります。また、適切な情報収集が必要となります。投資家は、市場動向や企業の業績情報などを収集し、株式の売買戦略を立てる必要があります。
取引所外取引
取引所外取引とは、証券取引所の立会場における売買ではなく、証券会社や金融機関などが機関投資家等と直接取引を行うことを指します。
つまり、株式や債券などの金融商品の売買が、証券取引所ではなく、取引所外で行われることを指します。取引所外取引は、大口の投資家が関与する取引が行われます。
学校で例えると、取引所は学校内での授業や試験などの公平な場で、教科書や教材に則って学習が進められます。
一方で、取引所外取引は、学校外での個人的な学習や補習、予備校などの学習機関に例えることができます。
学ぶ内容は同じでも、場所や環境によって学習効果が異なる場合があります。また、取引先によって授業料や教材費が異なるように、取引をする相手や学習機関によって料金や手数料が異なる場合もあります。
そして、自分自身の目的に応じて、自由に選ぶことができますが、それぞれにはリスクやコストが付きまといます。
ToSTNeT
東京証券取引所上場銘柄の立会外取引をToSTNeTと言います。
大口取引やバスケット取引を相対交渉やクロス取引によって成立させるシステムがToSTNeT-1で、バスケット取引は15銘柄以上かつ1億円以上の大口の取引で行われます。
また、終値などの特定の価格で複数回成立させるシステムがToSTNeT-2で、
自己株式取得を対象としたシステムがToSTNeT-3です。
自己株式取得は、発行済み株式数が減るため、1株当たりの利益や資産価値を向上することを目的としています。
PTS(私設取引システムProprietary Trading System)
PTSとは、証券会社が証券取引所を通さずに複数の顧客からの売買の注文をベースに取引を成立させる電子取引システムのことで、取引所外取引の一つです。
主な利用者は個人で取引所の時間外にも取引が行えます。取引ニーズの多様化から、国内外の機関投資家や個人投資家に活用されるようになりました。
などがあります。
PTSは、金商法によって、内閣総理大臣の認可を受けた証券会社が開設できます。